遅延型食物アレルギーとは?IgG検査で炎症を防ぐ体調管理術

アレルギー工学(Allergy Lab): 食事管理、環境整備

遅延型食物アレルギーの考え方

遅延型食物アレルギー(IgG抗体検査)について、日本アレルギー学会は診断としての有用性を公式には認めていません。食物を日常的に摂取していれば健康な人でもIgG抗体は産生されるため、抗体値の高さが必ずしもアレルギー症状の原因とは断定できず、食物除去による症状改善の科学的根拠が不十分であるとされているためです。

しかし、私個人の体験として、検査データに基づいて該当の食物を除去したことで体調が格段に改善し、除去をやめると再び不定愁訴が現れるという客観的な事実があります。私にとって遅延型食物アレルギーの管理は、日々のパフォーマンスを維持するために切っても切り離せないものです。今回は、この現象を科学的アプローチを交えて考察します。
(※以下はあくまで個人の見解と体験に基づくものです)

知っておきたいIgG抗体の「4つのサブクラス」

IgG抗体と一口に言っても、実はIgG1からIgG4まで4つの種類(サブクラス)が存在し、それぞれ体内で全く異なる働きをしています。

  • IgG1・IgG3(攻撃と炎症の主役): ウイルスや細菌などの外敵から体を守る強力な戦士です。異物と結合すると白血球を呼び寄せ、強い「炎症」を起こして敵を排除します。
  • IgG2(特殊な細菌への対応): 主に特定の細菌が持つ糖の成分に対して反応し、体を防御します。
  • IgG4(炎症のストッパー): 白血球を呼び寄せる力が極めて弱く、むしろ過剰なアレルギー反応を抑え込む役割を持ちます。これが産生されているのは、体がその食物を「安全なもの」として受け入れた(免疫寛容)サインでもあります。

一般的な遅延型アレルギー検査の「総IgG」には、炎症の引き金となる「IgG1・IgG3」も、安全のサインである「IgG4」もすべて合算されて検出されます。つまり、除去すべきものとそうでないものが混在していると思われます。これが、検査結果の解釈において見解が分かれる最大の理由なのです。

残念ながら、現時点では炎症に関わるIgGのみを検出する検査は存在しないので、IgG検査で反応性の高い食物から、除去することで体調がよくなるのかどうかを探していく必要があります。

『食べ続けたら必ずIgG4が産生される』わけではない

炎症は、うつ病における脳内の炎症や、2型糖尿病における膵臓の炎症など、多くの疾患のトリガーになり得ると言われています。この慢性的な炎症こそが、様々な不調を生み出す根本的な原因となります。健康寿命を延ばし、現在の不調を改善するためには、「体内に無駄な炎症を起こさせないよう自身をメンテナンスすること」が重要です。それが、自分の食物アレルギーの傾向をデータとして把握すべき最大の理由です。

ここで、私の実際の検査結果を一部公開します。

注目すべきは、さとうきびを3ヶ月ほど完全除去しているにもかかわらず抗体反応がいまだにLv 3で出ている点です。さらに驚くべきデータとして、10年以上毎日摂取し続けているビート(てんさい・甜菜糖)には一切の反応が出ていません。私は2013年頃から白砂糖や三温糖の代替として毎日甜菜糖を使用していますが、それでも抗体は産生されていないのです。

この事実は、「摂取し続ければIgG抗体ができる」という学会の一般的な見解が、すべての食物において絶対ではないことを示しています。継続摂取で抗体ができてしまう食物もあれば、全く反応しない食物もあるのです。すでに抗体が存在する食物を摂取し続ければ、そしてそれがIgG1やIgG3だとしたら、そのたびに体内で無駄に炎症を起こさせているということになります。

現在の一般的なIgG検査は、前述のとおり、IgGの総量(IgG1〜4)を測定しています。学会が指摘するように、この中には炎症を起こさない「IgG4(免疫寛容のサイン)」も含まれるため、数値が高いからといってすべてが有害とは限りません。しかし総量である以上、実際に炎症を引き起こす他のサブクラス(IgG1やIgG3など)が含まれている可能性も十分にあります。だからこそ、検査結果をひとつの客観的データとして捉え、実際に除去を試して体調の変化を検証することは、決して無駄なアプローチではないと私は考えています。

美味しい食事を楽しむことは重要であり、すべての反応食物を完全除去するのは多大なストレスを伴います。しかし、不要な炎症は未然に防ぎたい。自分の体質を客観的なデータとして知り、心身を健康に保つための有効な手段として、私はIgG食物アレルギー検査を活用しています。

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【引用・参考資料】

  • 一般社団法人 日本アレルギー学会「血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起」(2015年発行)
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